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Another Miyuki World - 燔祭 & クロスファイア

宮部みゆき氏得意のサイキック小説.
今回のテーマはパイロキネシスト(念力放火能力者).

妹が不良グループに殺された主人公に同じ職場のある一人の女性が力を貸すという.
その女性こそがパイロキネシストであった.
そして, 復讐を実行しようとしたそのときに主人公は自分の心の迷いが鮮明になってしまう.
今ここで犯人グループに制裁したら, 自分も彼らと同じ部類になってしまうと....
結果, 復讐は失敗に終わりその女性は姿を消した.
それから 2 年の月日が経ち, 新聞に不審焼死体の記事が載った.
それが復讐を成功させたという合図だった.
物語はこの新聞記事から始まり, 主人公がそれまでのいきさつを回想し最後に再びその女性に巡りあうところで終わっている.

これが"クロスファイア"の前身である"燔祭"のストーリー.
そして, 舞台はパイロキネシストの女性, 青木淳子が主人公になるクロスファイアへと移っていく.

青木淳子はひょんなことから殺人事件の現場に鉢合わせてしまう.
そこで再び, 彼女は自分の力を発現した.
が, 犯人グループの一人を取り逃がしてしまう.
さらにその犯人グループは女性を拉致していた.
その女性を助けるため, 取り逃がした犯人グループを制裁するために彼女は動き出した.
そして犯人グループのアジトを探り出し, 女性を救い出そうとしたときにその女性が何者かに殺されてしまった.
犯人グループの残党か. 彼女にはやりきれない思いだけが残ってしまった.

その事件をきっかけにある組織が彼女に接触してきた.
ガーディアンと名乗るその組織は司法で裁くことができなった人に対して私刑を行う組織だった.
その組織が彼女の力に注目した.
それは彼女を味方にすることではなく.....

"燔祭"の主人公は普通のサラリーマンの男性だった.
それに青木淳子が絡むストーリー仕立てでその男性の心葛藤が見事に描かれていたと思う.
自分の身内を奪った者たちへ復讐したい思いと, それを成せ得ない自分の思いの葛藤.
それを表現しきったはさすが宮部氏と思ったのだが....

一転"クロスファイア"になった瞬間.
主役が青木淳子に変わった.

ここでテーマが心の葛藤から"正義とは何か"という問題にすり替わってしまったような気がする.
確かに, 青木淳子の心の迷いは描かれていた.
が, それ以上に青木淳子が青木淳子の行動の正当化させることに彼女の心が乱れているように描かれている.
それはつまり, 青木淳子の正義と司法の正義, 強いては警察の正義への問いかけになってしまっている.
それが警察内でも議論されている.
多少乱暴な運転をしても悪い奴を始末するという意見と安全運転をして初めて法の裁きを与えることができるという意見.

被害者の思いをいち早く捉えたのは宮部氏の着眼のすばらしさだと思うが, 筋立ての荒さは否めない.
その点が "燔祭" の完成度の高さと"クロスファイア" の荒っぽさになってしまったように思える.
願わくば, 青木淳子の心の葛藤を全面出した作品して欲しかった.

個人的な評価は低いが, この"クロスファイア"は宮部作品の中ではかなり好きな方である(#^_^#)


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