実感なき景気回復に潜む金融恐慌の罠
郵貯民営化, ペイオフ解禁, 銀行の統廃合...
いわゆる小泉政権で行われた, 政策を真っ向から批判した本.
郵貯民営化がもたらす金融システムの崩壊
ペイオフ実施による金融不安
そして, 三大メガバンクになったことによって引き起こされた金融恐慌
などなど.
いわゆる批判本でありながら, かなり理路整然と著者の意見が書かれている.
個人的には, 郵貯民営(一部不支持)もペイオフも支持していた.
が, 本書を読んで若干考えが変わってきた.
本書の特徴は著者自信も言っているが, 著者の言いたいことは何度も繰り返し書かれている.
それにより反芻することができ, 著者の意見が的を射ている感じがしてくる.
単に批判するのではなく, きちんとしたデータを元に, 語っているので, それなりに説得力もある.
その一方で残念なのは, これらのイベントが発生していた当初, 著者の意見がマジョリティではなかったことである.
当時もう少し, 著者の意見を聞ける機会があれば, この国の経済は別の方向に進んでいったように思う.
また, ペイオフについては, 確かに 1,000 万円の預金保証の制限を加えているが, 当座預金のような無利息な決済性預金ならば全額保護されるし, FP の観点で言えば, 1,000 万以上の預貯金(3大メガバンクに分散させたとして, 3,000万円)を持っている世帯はそう多くないと思う.
それならば, そこまで騒ぐ必要のものではないのではと言うのが正直なところである.
が, それと銀行の数を減らせばよいというのは話の次元が異なり, それは著者が言っていることが正しいと思える.
とは言っても, 日本の銀行体質は池井戸氏の小説を読むにつけひどいと思う.
あと, 私が一番勘違いしていた点.
それは公的資金.
マスコミの論調通り, 公的資金=税金 という式が私の頭の中にあった.
著者のアイディアは税金ではなく, 国債を発行して, それを公的資金の財源に用いるという案であり, この方法はなるほどと思った.
そして, この方法によって行った公的資金は破綻しない限りプレミアム付きで返還されている.
国債の残高が増えるという別問題はあるが, 召還できる財源が確保できるならば, この方法は問題ないと思った.
さらに, 本書は世界大恐慌時のアメリカの政策を歴史的に分析している.
この話はかなり面白かった.
経済において, 歴史は繰り返されているが, それを認識していない事例が多い.
故に, そこに注目したところは, 本書の最もすばらしいところだと思う.
寝ながら読むような軽い本ではないが, 本書は非常に奥が深い本だと思う.
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